合法化に向け、ギャンブル依存症の調査へ
カジノ運営を合法化するための統合型リゾート施設を推進する法案(IR推進法案)が18日、衆院内閣委員会で審議入りしたことはお伝えしましたが、経済効果や観光振興に注目が集まる一方で、カジノを合法化するのであれば、既存のギャンブル依存症に関する実態把握や対策を講じる必要があるとも提起され、カジノ合法化に向け懸念とされているギャンブル依存症の問題に、早くも注目が集まっています。
過去、ギャンブル依存症に対し十分な調査なされず
この日の審議では、IRの経済効果などについて質疑が交わされた一方で、近藤洋介議員(民主)が、「パチンコや競輪のような遊戯や公営ギャンブルへの依存症問題が解決されるべき」と指摘しました。赤嶺政賢議員(共産)も依存症問題について指摘し、国家公安委員会の古谷圭司委員長は、そもそも警察はパチンコ依存症問題に関する統計を持ち合わせていないと答え、国は依存症に対する認識の甘さを露呈しました。
こういった現状に対し、カジノ推進派でIR議連の岩屋毅・衆議員議員会長(自民)は、「これまでのギャンブル依存症に対する調査、対策は不十分だった」との認識を示し、カジノの合法化は、IRから捻出される納付金の一部を使い、依存症に関する調査・対策を行うことを前提としていると述べ、国がカジノ合法化を前に、本腰を上げてギャンブル依存症の調査・対策を講じる姿勢を明らかにしました。
早めの問題解決を望む
少し古い統計データになりますが、厚生労働省の厚生労働科学研究(09年度版)によると、7500人を対象に実施した調査(4123人が回答)では、男性の9.6%、女性の1.6%がギャンブル依存であることがわかっています。
ただ、全国規模の調査はこれ以外に存在せず、依存症の定義も定まらないなど、実態の把握が急務との指摘がでています。カジノ合法化に向けてこういった問題や課題の具体的な解決策を講じなければ、慎重派や反対派の非難を受けるのは目に見えており、カジノ法案成立の大きな障害となります。問題解決に向けた一刻も早い、国の対応に期待です。
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